認知症の中核症状とは(失認・失語)

福祉の話

・失認とは

・失語とは

・中核症状を分かりやすく解説(私なりの解釈)

 以前からお伝えしている「中核症状」は壊れてしまった脳の細胞が担っていた役割が失われることで起こる症状をと言います。今回はアルツハイマー型認知症の主な中核症状である、失語について説明していきたいと思います。

失認とは

体の器官(目・耳・鼻・舌・皮膚等)の五感に障害がないのにも関わらず、対象を認知する事が出来ない状態のことを言います。

例)

・目の前にある花を花だと認識できない。

・自分の体を触られている事は分かっていても、その部分がどこか分からない。

・鏡に映る自分の顔を自分と認識出来ない。

失語とは

言葉を司る脳の部分(言語野である大脳)が機能しなくなり言葉が上手く使えなくなる状態。失語には、

運動性失語(ブロカー失語)と感覚性失語(ウェルニッケ失語)の2種類があります。

■運動性失語(ブロカー失語)

相手の話は理解できるが、言葉が出にくく間違いが多くなり、文字を書く事も難しくなる。聞き手から何度も聞かれたり、思うように話せない苛立ちから話す意欲がなくなる事もみられます。

例)

・「テレビ」を「これは何ですか?」と質問すると「ケレビ」と答える。

・「今、どんな症状がありますか?」と質問すると、「…チェ…ウゴカ…ナク(手が動かない)」と

   意味は理解できるが、言葉が明瞭に出てこない。

感覚性失語(ウェルニッケ失語)

言葉は流暢に出てきますが、相手の話や書かれた言葉の意味を理解する事が出来ない。その為、聞き手は話し手の言いたい事をなかなか理解する事が出来にくくなります。

例)

・「テレビ」を「これは何ですか?」と質問すると「デンワ」と答える。

・「今、どんな症状がありますか?」と質問すると、全く関係のない内容で「メガネね、動かなくて、重いけれども」と意味が通じない言葉を答える。

中核症状を分かりやすく解説(私なりの解釈)

前回と合わせて実行機能障害・失行・失認とお伝えしてきました。実行機能障害と失行の違いや失認の事を聞かれることがよくあります。そこで私なりの解釈ですが、もう少し分かりやすくご説明できればと思います。

自動販売機で飲み物を買って飲むまでの場面を想像してみてください。飲み物を買うには、買いたい飲み物を決めて小銭を入れてボタンを押します。飲み物が出てきたら飲み物を取り出して蓋を開けて飲みます。

前回、説明した失行をこの動作の中で例えると飲み物の蓋を開けるという行為が出来なくなる事です。失認は飲み物自体を認識できない事で、実行機能障害は買いたい飲み物を決めて小銭を入れてボタンを押す。出てきたら飲み物を取るという一連の動作が出来なくなる事だと理解してていただければ良いのではないかと思います。

※参考文献・資料 認知症介護基礎研修標準テキスト、認知症介護実践者研修テキスト

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