認知症ってどんな病気?物忘れとの違いもわかりやすく解説

福祉の話

福祉に関わって20年。その中で見てきたこと、感じてきたことも含め、認知症についてお伝えしていきたいと思います。

・はじめに

・認知症とは?

・物忘れと認知症の違い

■はじめに

初めに今では認知症は多くの人が知っている言葉になってきたと思いますが、まだどのような状態の事を言うのか詳しくは知らない人も多いのではないでしょうか?例えばタイトルに認知症ってどんな病気?って書きましたが、認知症は病名ではありません!! ※後ほど説明します。

今回、このような記事を書こうと思ったのは、認知症は私を含め誰もがなり得るものです。そこで少しでも多くの方々に認知症について正しく理解してもらい、認知症になっても住みやすい社会になるようなお手伝いができればと思い記事にしようと思いました。

少し古い情報ではありますが、全国の認知症患者数(2012年推計)は、

462万人 さらに、認知症予備軍の人数は、およそ400万人合計すると 約800万人

全国の高齢者が3200万人なので、4人に1人は、認知症または、認知症予備軍

さらに2025年には患者数だけでも700万人を超えると予想されています。

『認知症とは・・・?   

さまざまな原因によって脳の細胞が死んでしまうなどし、脳の働きに不具合が生じた為、起こる障害。認知機能の低下が原因で日常生活全般に支障をきたす状態。(おおむね6か月以上持続している状態)と言われています。初めにお伝えしましたが、認知症は病名ではなく、脳の病気による認知機能の低下によって引き起こされる状態の総称ということを覚えておいて欲しいと思います。

■物忘れ(生理的老化)と認知症の違いとは

物忘れ(生理的老化)認知症の症状
原因脳の老化脳の病気
状態体験の一部を忘れる体験の全てを忘れる
進行しない進行性で悪化する
自覚がある自覚が少ない
生活支障なし支障をきたす

一般的な「もの忘れ」

・カレーを食べたのは、昨日の昼だったかな~

・久々に会った同級の名前が思い出せない!誰だったかな?

・さっき使ったメガネは何処に置いたかな~

・あれ?何をしようとしたかな~

認知症高齢者の「もの忘れ」(記憶障害)

・ここは何処?わしは何しにここに来たんだったかなぁ~?

・朝から何にも食べさせてもらっとらん。腹減ったなぁ~

・夜になると歩き回るからばあさんが寝とられんって言っとったな~歩き回ってないけどな~

いかがでしょうか?お分かりいただけたでしょうか?

一般的な「物忘れ」は、例えば3日前に食べた晩御飯の内容は覚えていないけど、食べたことは忘れていないと思います。私達でも3日前の晩御飯を食べたことは覚えていますが、何を食べたかは覚えていない(思い出せない)ことがあるのではないでしょうか。しかし日常生活に支障は特にないと思います。反対に認知症高齢者の「物忘れ」は3日前に晩御飯を食べたこと自体を忘れてしまいます。その為、ご飯を食べた後に家族に「何にも食べさせてもらっとらん」や「早くご飯を食べさせて」等、訴えるようになってきます。一般的な「物忘れ」は忘れたことに対して自覚はありますが、認知症高齢者の「物忘れ(記憶障害)」は自覚がある事は少ないです。

このように認知機能の低下が原因で日常生活に支障をきたすのが、認知症といわれる症状になります。

物忘れ(記憶障害)についてはこちら↓

認知症の中核症状『記憶障害』とは?症状例・支援方法や留意点を紹介
「認知症の記憶障害とは?具体的な症状例や日常生活での困難さ、支援方法や留意点を解説。体験談を交えながら、介護や理解に役立つ知識を紹介します。」

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認知症とは?主な原因疾患・中核症状・ケアの歴史をわかりやすく解説
「認知症とは何か?主な原因疾患や特徴的な中核症状、ケアの歴史をわかりやすく解説。介護や医療に関心のある方に役立つ基礎知識です。」

※参考文献・資料 認知症介護基礎研修標準テキスト、認知症介護実践者研修標準テキスト

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