地域密着型サービスとは?種類や特徴を分かりやすく解説

介護保険サービス

地域密着型サービスとは

地域密着型サービスとは、住み慣れた地域で生活を続けられるようにするために作られた介護保険サービスです。

高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、比較的小規模な事業所が地域との関わりを大切にしながらサービスを提供することが特徴です。

通常の介護保険サービスと大きく違う点は、原則としてその市区町村に住んでいる人だけが利用できるという点です。

例えば、岡山市の地域密着型サービスは、基本的に岡山市に住民票がある人が対象になります。

これは、地域の高齢者を地域全体で支えていくという考え方に基づいています。

また、事業所の規模が比較的小さいため、利用者一人ひとりに合わせたきめ細かい支援が行われやすいという特徴もあります。

地域密着型サービスは、認知症の高齢者や中重度の要介護者でも、できるだけ住み慣れた地域で生活を続けられるようにすることを目的として創設されたサービスです。

地域密着型サービスが作られた背景

日本では高齢化が進み、介護が必要な高齢者も増えています。

しかし、すべての人が施設に入所することは現実的ではありません。また、多くの高齢者は「できるだけ住み慣れた自宅や地域で生活したい」と考えています。

そこで国は、施設だけに頼るのではなく、地域の中で介護を支える仕組みとして地域包括ケアシステムを推進しています。

地域密着型サービスは、この地域包括ケアシステムの中心的な役割を担うサービスの一つです。

小規模で地域に密着したサービスを整備することで、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる社会を目指しています。

地域密着型サービスの特徴

地域密着型サービスには、次のような特徴があります。

① 原則として市区町村の住民のみ利用できる

地域密着型サービスは、基本的にその市区町村の住民のみが利用できます。

例えば、岡山市の地域密着型サービスは岡山市民が対象です。

これは地域の高齢者を地域全体で支えるという目的があるためです。

② 小規模で家庭的なサービス

地域密着型サービスは、小規模な事業所が多いのが特徴です。

例えば、デイサービスでも定員が18人以下など、比較的小規模な施設が多く、家庭的な雰囲気の中でサービスが提供されます。

そのため、利用者一人ひとりの状況に合わせた柔軟な対応がしやすいというメリットがあります。

③ 認知症の高齢者への支援が充実

地域密着型サービスには、認知症の高齢者を対象としたサービスも多くあります。

認知症になっても、できるだけ住み慣れた地域で生活を続けられるように支援することが目的の一つになっています。

地域密着型サービスの種類と費用の目安

地域密着型サービスにはいくつかの種類があるので、主なサービスと費用について説明します。
費用は利用するサービスの種類や要介護度によって異なります。また、基本的には介護保険が適用されるため、自己負担は1〜3割になります。

小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護は、住み慣れた自宅での生活を続けながら、必要に応じて「通い」「訪問」「泊まり」のサービスを組み合わせて利用できる地域密着型サービスです。

一般的な介護サービスでは、デイサービスや訪問介護、ショートステイなどをそれぞれ別の事業所と契約して利用することが多いですが、小規模多機能型居宅介護では一つの事業所がこれらのサービスをまとめて提供することが大きな特徴です。

例えば、普段はデイサービスのように施設に通いながら、必要なときには職員が自宅を訪問して介護を行ったり、体調が不安なときには施設に宿泊することもできます。このように、利用者の状態や家族の状況に合わせて柔軟にサービスを組み合わせることができます。

小規模多機能型居宅介護は「小規模」という名前の通り、登録できる利用者数は29人以下と決められています。また、1日の通いサービスの利用者はおおむね18人以下とされており、比較的少人数で家庭的な雰囲気の中でサービスが提供されます。

そのため、利用者一人ひとりの状態を把握しやすく、継続的な支援が行いやすいという特徴があります。職員も顔なじみになりやすいため、環境の変化に不安を感じやすい高齢者や認知症のある方にも利用しやすいサービスといえるでしょう。

また、小規模多機能型居宅介護ではケアマネジャーも事業所に所属しているため、利用者の状況に合わせたケアプランを作成しながら、必要なサービスを柔軟に調整することができます。

このように、小規模多機能型居宅介護は在宅生活を続けながら、状況に応じてさまざまな支援を受けることができるサービスとして、在宅介護を支える重要な役割を担っています。

小規模多機能型居宅介護の費用の目安

小規模多機能型居宅介護は、月額の定額制になっているのが特徴です。
要介護度によって料金が決まっています。

費用の目安(1割負担)

要介護1 約1万〜1万2千円
要介護3 約2万〜2万5千円
要介護5 約3万円前後

この費用に加えて、
・食費
・宿泊費
などが別途かかります。

看護小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護は、小規模多機能型居宅介護に訪問看護が加わったサービスです。

医療的ケアが必要な人でも在宅生活を続けやすいように、介護と看護を一体的に提供します。

医療依存度が高い人や退院直後の人などにとって重要なサービスです。

看護小規模多機能型居宅介護の費用の目安

看護小規模多機能型居宅介護も、要介護度ごとの月額定額制です。

費用の目安(1割負担)

要介護1 約1万3千円
要介護3 約2万5千円
要介護5 約3万5千円前後

この費用に加えて、食費や宿泊費などが別途必要になります。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症対応型共同生活介護は、一般的にグループホームと呼ばれている介護サービスです。

認知症の高齢者が少人数で共同生活を送りながら、介護や日常生活の支援を受ける施設です。
1つのユニットの定員は5人〜9人程度で、家庭に近い環境の中で生活することが特徴です。

認知症の人は、環境の変化や大人数の集団生活に不安を感じやすいことがあります。そのためグループホームでは、小規模で落ち着いた生活環境の中で、できるだけ自分らしい生活を続けられるよう支援が行われます。

施設では、食事の準備や掃除、洗濯などの日常生活を職員と一緒に行うこともあります。
これは、これまでの生活習慣を大切にしながら、できることを続けることで認知症の進行を緩やかにすることを目的としています。

また、認知症ケアの知識を持った職員が24時間体制で配置されているため、日常生活の支援だけでなく、認知症の症状に応じた対応を受けることができます。

グループホームは、認知症があっても住み慣れた地域で生活を続けられるようにするために作られた地域密着型サービスの一つです。そのため、原則としてその市区町村に住んでいる人が利用できるという特徴があります。

なお、グループホームを利用するためには

・認知症の診断があること
・要支援2または要介護の認定を受けていること

などの条件があります。

認知症の高齢者が安心して生活できる環境が整えられていることから、在宅生活が難しくなった場合の選択肢の一つとして利用されることが多いサービスです。

認知症対応型共同生活介護の費用の目安

グループホームは入所して生活する施設のため、介護費用に加えて生活費が必要になります。

費用の目安(1割負担)

介護費用 月2万〜3万円程度

これに加えて

・家賃
・食費
・光熱費

などがかかるため、月10万〜15万円程度になることが多いです。

認知症対応型通所介護

認知症対応型通所介護は、認知症の高齢者を対象としたデイサービスです。
一般的なデイサービスと似ていますが、認知症ケアに特化した支援が受けられることが大きな特徴です。

認知症の高齢者は、環境の変化や人の多さによって不安を感じやすいことがあります。そのため認知症対応型通所介護では、少人数で落ち着いた環境の中でサービスが提供されます。

主なサービス内容は次のようなものがあります。

・食事や入浴などの日常生活の支援
・認知症の進行を緩やかにするためのレクリエーション
・機能訓練
・家族の介護負担の軽減

また、認知症ケアの研修を受けた職員が対応することが多く、認知症の症状に合わせた支援が行われます。

認知症があっても安心して通える環境が整えられているため、認知症の人にとって利用しやすいデイサービスといえるでしょう。

認知症対応型通所介護の費用の目安

認知症対応型通所介護の費用は、要介護度や利用時間によって異なります。

費用の目安(1割負担)

要介護1
1回 約900円〜1,100円

要介護3
1回 約1,200円〜1,400円

要介護5
1回 約1,500円〜1,700円

この費用に加えて

・食費
・レクリエーション費
などが別途かかることがあります。

また、加算の有無によって費用が変わる場合もあります。

地域密着型通所介護

地域密着型通所介護は、小規模なデイサービスです。

定員が18人以下の小規模なデイサービスで日常生活の支援や機能訓練などを日帰りで受けるサービスです。

大規模なデイサービスと比べて利用者数が少ないため、利用者一人ひとりに合わせたきめ細かいサービスが提供されやすいという特徴があります。

地域密着型通所介護の費用の目安

デイサービスは利用回数によって費用が変わります。

費用の目安(1割負担)

1回あたり
約700円〜1200円程度

これに加えて

・食費
・レクリエーション費

などがかかる場合があります。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、訪問介護と訪問看護を組み合わせたサービスです。

介護職員や看護師が定期的に自宅を訪問するほか、必要なときには随時訪問することもできます。

24時間対応している事業所もあり、医療的なケアが必要な人でも在宅生活を続けやすいサービスです。

定期巡回・随時対応型訪問介護看の費用の目安

このサービスも月額制の料金になっています。

費用の目安(1割負担)

要介護1 約5千円〜7千円
要介護3 約1万5千円前後
要介護5 約2万5千円前後

24時間対応の訪問サービスとしては、比較的利用しやすい料金設定になっています。

地域密着型サービスを利用するには

地域密着型サービスを利用するためには、まず介護保険の要介護認定を受ける必要があります。

大まかな流れは次の通りです。

① 要介護認定の申請

市区町村の窓口や地域包括支援センターで、介護保険の申請を行います。

その後、訪問調査や主治医意見書などをもとに審査が行われ、要支援または要介護の認定が出ます。

② ケアマネジャーに相談

要介護認定を受けた後は、ケアマネジャーと相談しながらケアプランを作成します。

ケアプランとは、どのような介護サービスをどのくらい利用するかを決めた計画書です。

③ 利用するサービスを決める

ケアマネジャーと相談しながら、利用する地域密着型サービスを決めていきます。

地域密着型サービスは、市区町村によって整備されている事業所が異なるため、地域のサービス状況に応じて選択することになります。

④ 事業所と契約して利用開始

利用するサービスが決まったら、事業所と契約を行い、サービスの利用が開始されます。

地域密着型サービスを選ぶときのポイント

地域密着型サービスを選ぶときには、いくつかのポイントを確認しておくことが大切です。

本人の状態に合っているか

介護サービスは、本人の状態や生活状況に合ったものを選ぶことが重要です。

例えば

在宅生活を続けたい
→ 小規模多機能型居宅介護

認知症で共同生活が必要
→ グループホーム

医療的ケアが必要
→ 看護小規模多機能型居宅介護

など、状況に応じて適したサービスが変わります。

自宅から通いやすいか

デイサービスや小規模多機能型居宅介護など、通いのサービスを利用する場合は、送迎時間や距離も重要なポイントです。

自宅から遠すぎると、利用が負担になる場合もあります。

事業所の雰囲気

実際に見学をしてみると、事業所の雰囲気や職員の対応がよく分かります。

・利用者が落ち着いて過ごしているか
・職員が丁寧に対応しているか
・施設の清潔感

などを確認しておくと安心です。

地域密着型サービスの違いを比較

地域密着型サービスにはさまざまな種類があり、それぞれ目的や利用方法が異なります。
主なサービスの特徴をまとめると次のようになります。

サービス特徴
小規模多機能型居宅介護「通い」「訪問」「泊まり」を組み合わせて利用できる在宅支援サービス
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る入所型サービス
地域密着型通所介護定員18人以下の小規模デイサービスで、家庭的な雰囲気が特徴
認知症対応型通所介護認知症の人を対象にしたデイサービスで、認知症ケアに特化
定期巡回・随時対応型訪問介護看護24時間対応で訪問介護や看護を受けられる在宅サービス
看護小規模多機能型居宅介護小規模多機能型居宅介護に訪問看護を組み合わせたサービス

このように、地域密着型サービスは在宅生活を支えるサービスから入所型サービスまでさまざまな種類があります。

本人の状態や生活環境、家族の介護状況によって適したサービスは異なるため、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しながら選ぶことが大切です。

地域密着型サービスはどんな人に向いている?

地域密着型サービスは、住み慣れた地域で生活を続けたい高齢者を支えるために作られた介護保険サービスです。そのため、できるだけ自宅や地域で生活を続けたいと考えている人に向いているサービスといえます。

また、地域密着型サービスの多くは小規模で運営されているため、利用者一人ひとりに合わせた支援を受けやすいという特徴があります。職員や他の利用者とも顔なじみになりやすく、落ち着いた環境でサービスを利用できる点もメリットです。

特に、認知症のある高齢者は環境の変化に不安を感じやすいことがあります。小規模で家庭的な雰囲気の中で支援を受けられる地域密着型サービスは、認知症の人にとっても利用しやすいサービスといえるでしょう。

また、家族の介護負担を軽減するために利用されることも多く、在宅介護を続けるうえで重要な役割を果たしています。

このように地域密着型サービスは、本人の生活を支えるだけでなく、家族の介護を支えるサービスとしても活用されています。利用を検討する場合は、本人の状態や生活環境に合わせて、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しながら適切なサービスを選ぶことが大切です。

まとめ

地域密着型サービスは、住み慣れた地域で生活を続けるために重要な介護保険サービスです。

小規模で家庭的な環境の中でサービスを受けられることや、認知症の高齢者にも対応しやすいことが特徴です。

また、小規模多機能型居宅介護やグループホームなど、利用者の状況に応じたさまざまなサービスがあります。

介護が必要になっても、できるだけ住み慣れた地域で生活を続けたいと考える人は多くいます。地域密着型サービスは、そのような思いを支える大切な仕組みの一つです。

介護保険サービスを選ぶ際には、地域密着型サービスも選択肢の一つとして検討してみるとよいでしょう。

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