母の記憶がほどけていく…『百花』が描く親子のすれ違いと愛の物語

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🌟 おすすめ度

感動度 ★★★★☆ 静かな語り口ながら、親子の心の距離が近づくラストに向けてじんわり涙が込みあがるタイプの感動。大げさな演出がない分、かえって現実味のある切なさが心に残ります。
分かりやすさ ★★★☆☆ ストーリー自体はシンプルで分かりやすい一方、心理描写の“余白”が多く、説明的ではありません。感情の変化を読み取るのが好きな人には心地よい反面、少し難しく感じる人もいるかもしれません。
リアリティ度 ★★★★☆ 認知症の進行や親子のすれ違いの描写がとても丁寧で、実体験と重なる人も多いはず。特に母が見せる細かな表情や行動は、原田美枝子の名演で“本物らしさ”が際立っています。
総合おすすめ ★★★★☆ 派手なエンタメではないものの、親子の記憶・愛情・後悔に真正面から向き合う良作。静かに心を揺らす映画が好きな人、家族テーマに関心がある人には強くおすすめです。

はじめに

Amazonプライムで見ることのできる「百花」について紹介したいと思います。映画『百花』(2022年)は、川村元気が脚本・監督を務め、同名小説を原作に描かれた親子の物語です。認知症をテーマにしながらも、悲しさや切なさだけでなく、家族の心の距離や愛情の形を丁寧に描き、観る者に静かな余韻を残す作品です。主演の泉役に菅田将暉、母・百合子役に原田美枝子、妻・加奈役に長澤まさみが出演し、繊細でリアルな演技で親子の心情を浮き彫りにしています。

作品紹介


物語の中心は、母・百合子の認知症の進行に直面する息子・泉と、その家族です。泉は幼い頃から母との距離感に複雑な思いを抱えており、正月に久しぶりに実家を訪れた際、母の言動が以前と違っていることに気づきます。百合子は静かに認知症が進行しており、昔の記憶の断片だけが鮮やかに残る状況。泉は母をグループホームに入所させる決断をしますが、その中で母の言葉や行動が、泉の幼い頃の記憶や家族との距離を呼び起こしていきます。妻・加奈との生活も描かれ、息子として、夫としての自分を見つめ直す過程も丁寧に描かれます。

あらすじ


正月に実家を訪れた泉は、母・百合子が以前とは違う様子で、記憶が不安定になっていることに気づきます。その後、百合子が万引きで捕まったり迷子になったりして異変を感じた泉は百合子を連れ病院を受診します。診断の結果、認知症と診断されます。色々と悩んだ結果、泉は百合子をグループホームに入所させる決断をします。
グループホームで過ごす百合子は、穏やかに過ごしながらも、記憶が抜け落ちたり、泉を昔の誰かと混同したり、幼い頃の記憶を呼び起こすような言葉を口にすることもあります。その度に泉は、過去に置き去りにされた感情や母との距離感を思い返さざるを得ません。
百合子の記憶が薄れていくほどに、泉は逆に、自分が本当に大切にしたいものを思い出し、家族の意味を再確認していきます。母の忘れていく世界を通して、泉は家族の愛情の深さと時間の尊さに気づくのです。

作品の魅力


映画の最大の魅力は、親子の心の距離感や記憶の揺らぎを、静かな余白と繊細な演技で描いている点です。原田美枝子は、認知症を患う母の微細な表情や言葉の揺れを圧倒的な存在感で表現。菅田将暉は、息子としての葛藤と成長を繊細に演じ、長澤まさみは妻としての寄り添いと支えを自然に演じています。
特別な事件が起こるわけではなく、日常の中での心の揺れを丁寧に積み上げていく構成が、観る者の胸に深く染み入ります。派手さはないものの、家族の愛情、記憶、再会の瞬間を静かに描くことで、強く心に残る作品となっています。

感想


観終わったあと、静かに胸が締めつけられ、長く余韻が残る映画でした。母の記憶が薄れていく切なさと、息子として、夫として、自分の感情と向き合う泉の姿がリアルで心に響きます。
派手な演出はなく、観る人の心に寄り添う丁寧な描写で、家族の大切さや時間の尊さを静かに伝えてくれる作品です。認知症や家族をテーマにした映画が好きな方はもちろん、自分の親子関係を振り返りたい人にもおすすめしたい作品です。

この映画は、認知症の進行と家族の葛藤をとてもリアルに描いています。
映画で描かれた症状や家族の気持ちを、次の記事でより深く理解できます。

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