認知症の方への接し方・対応のポイント|家族ができる実践編

福祉の話

はじめに

認知症について調べ、症状や理由を理解しても、「実際にどう接すればいいのか分からない」
と感じる方は少なくありません。

毎日の声かけや関わり方は、小さなことの積み重ねです。
正解を探そうとするほど、家族が疲れてしまうこともあります。

この実践編では、今日からできる関わり方のポイントを、基本姿勢や実際に起こり得るケースの事例などを用いながら家族目線で分かりやすくまとめています。
すべてを完璧にやる必要はありません。
できそうなところから、取り入れてみてください。

行動や言動の背景を理解したい方は、
認知症の行動・心理症状(BPSD)について、分かりやすく解説した記事はこちら👇

家族が困りやすい認知症の行動・心理症状(BPSD)と向き合い方
認知症の行動・心理症状(BPSD)について、怒る・徘徊・妄想などの具体例と、家族が知っておきたい対応のポイントを分かりやすく解説します。

認知症の方への接し方で大切な基本姿勢

  • 叱らない・否定しない
  • 本人のペースを尊重する
  • 「できない」より「できていること」に目を向ける
  • 不安を和らげる声かけのポイント
  • ゆっくり、短く、具体的に伝える
  • 選択肢は少なくする。
  • 気持ちに共感する言葉を添える

困りやすい場面別の対応例

【ケース①】同じことを何度も聞く

同じことをなん度も言ったり聞いたりする 認知症の中核症状である記憶障害です。ご自宅や職場でこういった場面はないでしょうか?

「病院行くのはいつだっけ?」「夕飯は何だっけ?」と一度説明して納得しても、数分後に同じことを何度も聞かれると対応する側も疲れてしまいます。

まず対応を考える前に本人の気持ちと、対応するあなた側の気持ちを考えてみましょう。

💕本人の気持ち

・知りたい。知っておきたい。

・先のことがわからないから、聞かないと不安になる。

・不安だから側にいて話を聞いて欲しい。

・何度も同じことを聞いているつもりはない

💕あなたの気持ち

・同じことを何度も聞かれて疲れるし、イライラしてしまう。

・何度言えば分かっってくれるのか、その都度対応するのもしんどい。

それぞれの気持ちを理解した上でどのような対応がいいのか?考えていきたいと思います。

NGな対応

「うんざり」「イライラ」を表に出すのは厳禁です。

あなたを困らせようとして、何度も同じことを言ったり聞いたりしているのではありません。不安な気持ちをどうすることもできず、あなたに頼っているだけです。そんな困っている本人に「さっきも言ったでしょ」や「何回も言わせないで」等のうんざりした態度やイライラした気持ちぶつけてしまうのは逆効果です。さらに本人の不安な気持ちが大きくなり、そこから怒りっぽくなったり、暴言・暴力が出たりBPSDが悪化する可能性があります。

良い対応

その都度、丁寧に答えるのが基本です。

毎日繰り返し同じ質問をされたら対応するあなたもヘトヘトになって当然かもしれません。本人が繰り返し聞いてくるのは不安もありますが、「そばに来てほしい」「優しくして欲しい」という気持ちがあるからです。同じことを聞かれても、その都度そばに行って「病院行くのは○日だよ」「晩ご飯はあなたの好きな○○だよ」と答えてあげてください。

そうした心に寄り添う対応が不安定な気持ちを安定させることにつながります。時間があれば、そのまま話をしたり、一緒に散歩したりすると不安な気持ちも和らぐのではないでしょうか。また「お茶飲む?」「散歩に行こうか」と違う話題を投げかけてみるのも本人の気持ちが紛れることもあるので良いのではないでしょうか。

接し方以外の参考例

・目で見て分かる日めくりカレンダーに予定を書き込み(病院の受診日等)一緒に確認する。

・目につきやすいところにメモを残しておく。

会話以外でも目で確認できるようにしておけば後から見ても理解が出来るので、言い直しのストレスも少し軽減しますし、本人にとっても「ここを見れば必要なことが書いてある」と感じられて安心につながることもあると思います。

私の体験談として

 施設職員でさえ入所者に何度も同じ事を聞かれ言葉ではその都度説明をしていますが、何度も聞かれるストレスでうんざりした態度が出てしまっている職員もたくさん見てきました。私も認知症の勉強をするまでは同じように感じていた時期もありました。1日8時間の仕事での対応でさえ、そのようなストレスがかかってしまうのに24時間一緒に生活している家族であれば、それ以上のストレスがかかると思います。それでも本人の視点で考えれば記憶障害等の中核症状から日頃から多くの不安を抱えている心理状態で、しかも何度も聞いている自覚はないことがほとんどです。何度も聞かれることで、「わざと聞いているのではないか」「かまって欲しいだけではないか」等、思ってしまうかも知れませんが、相手の不安な思いを汲みっとって、安心できる対応を心がけることで相手の安心に繋がることを知っておいて欲しいと思います。

【ケース②】盗まれたと疑うようになった(物盗られ妄想)

物忘れがひどくなり、最近自分でしまった物の場所が分からなくなる。単なる「置き忘れ」や「しまい忘れ」が多いのだと思いますが、財布や貴重品がなくなった時に「誰かが盗んだ」と騒ぎ出す。ご自宅や職場でこういった場面はないでしょうか?

時には、身近な家族や職員等の支援者を疑うこともあります。そのような事を言われると、いつも色々と支援をしている側からすると腹が立ってしまうこともあると思います。

ここでも、対応を考える前に本人の気持ちと、対応するあなた側の気持ちを考えてみましょう。

💕本人の気持ち

・自分が大事なものをなくすはずがない。

・自分はなくしてないので、家族(職員)の誰かが盗んだに違いない。

・泥棒だとすれば、警察に通報しなければ…。

💕あなたの気持ち

・誰も盗んでないわよ

・なくしただけならまだしも、家族(職員)が盗んだと疑われるのは腹も立つし悲しい。

NGな対応

「私は盗んでない」と弁解するのはNG

本人は記憶障害のせいで自分でしまった事を忘れてしまい「財布を盗まれた」と思っているので、それを「誰も盗んでない」「なくしただけじゃない?」「ちゃんと探したの?」など否定しても本人は納得しません。さらに本人は「嫌な事を言われた」「攻撃された」と家族(職員)に対して、もっと不信感を抱くようになります。さらに興奮して暴言や暴力につながることもあるので、決して本人の言い分を頭から否定はしないようにしてください。

良い対応

相手の言い分を受け止めて一緒に探す。

「お前が財布を盗んだだろう」と言われたら、否定したい気持ちをグッとこらえて「財布が盗まれたの?」「大丈夫ですか?」「それは困りましたね」等、相手の言葉を受け止めたり、相手の気持ちに寄り添って共感するのも大切です。物盗られ妄想が出ている時は興奮していることが多いので、「一緒に探しましょう」と周りを探しながら本人の好きな事や食事の話など別の話を切り出しながら探すのも良いかも知れません。多くの場合タンスの引き出しやバッグの中など身近なところにしまってあることが多いです。探し物が見つかった時も本人自身が見つけれるように上手く導いてあげるのもいいと思います。例えば探している最中にあなたが先にタンスの引き出しに財布があるのを見つけたとします。そこで見つかったと伝えず本人に「タンスの中は見てみた?」と本人に探してもらい見つけてもらいます。探していたものが見つかれば本人もホッとして気持ちも落ち着くでしょう。

私の体験談として

 施設で働いていた時に70代のAさんというおばあちゃんがいました。その人は有名大学で研究をしたり人に講義したりして働いていた方でとてもプライドの高い人だったと家族から伺っていました。その方が認知症が進行し物忘れが目立ってきた時に「財布がなくなった」「B職員がとった」と言い出したことがありました。そのB職員は日頃からAさんをとても気にかけ他の職員が気がつかないことでもAさんのために色々としてあげていた人でした。そんなBさんはAさんから盗んだと疑われたことで、とてもショックを受けて私に相談されたことがありました。その時は私がBさんに変わって対応しAさんと一緒に財布を探すことになりました。8畳ほどの部屋でしたが、一緒に探しているとAさんが寝ているベッドの枕の下に財布がしまってありました。私は「ありましたよ」と言わずAさんに「ベッドは見てみました?枕の下とか」と見てもらうよう促すとAさんは枕を持ち上げ「あった」「なんでこんなところにあるん」と安心した様子で、職員に盗まれたことはすっかり頭の中から消えた様子でした。

 今回のケースのように本人から犯人扱いされると悲しい気持ちになり落ち込んでしまうこともあるかも知れません。家族や職員など身近な人に財布等を盗まれたと思い込むのは認知症状の一つです。疑われても落ち込まず冷静に対応をするのが良いと思います。それでも一緒に探すのも辛い時は1人で抱え込まず第3者を頼って対応をお願いしましょう。

【ケース③】何度も食事を要求する。

 食事を食べたのにもかかわらず、何度も食事を要求するのは認知症の典型的な症状の一つです。これは、認知症の中核症状の記憶障害が起こり食事を食べたこと自体を忘れてしまっているために起こります。その為、いくら介護者が「さっき食べましたよ」と伝えても「食べていない」と言い張ります。ひどくなると「ご飯を食べさせてもらえない」と周囲に訴えるようななったりして対応する側も疲れてしまいます。

まず対応を考える前に本人の気持ちと、対応するあなた側の気持ちを考えてみましょう

・ご飯を食べてたか覚えてない。

・お腹がすいてるからご飯を食べさせてもらってない。

・家の人(職員)は私にご飯を出してくれないのかしら。

💕あなたの気持ち

・さっきご飯を食べたばかりなのになんで「食べてない」って言うの?

・「食べましたよ」何度伝えても分かってくれないからイライラしてしまう。

それぞれの気持ちを理解した上で、どのような対応がいいのか?考えていきたいと思います。

NGな対応

叱ったり、無視したりは、逆効果

「さっき食べたばかりでしょ‼︎」と強い口調で叱ったり、返事をせずにやり過ごしたりするのは、逆効果です。本人は「ご飯を食べていない」「お腹がすいた」と思っているので、あなたがそれを否定するような態度を取れば、被害者意識を強くするだけです。こうなると周囲の人に「ご飯を食べさせてもらえていない」と言いふらしたり、食べ物にさらに執着するようになったりします。

良い対応

食べ終えたことを、視覚に訴える

要求されるがままに食事を出すことは難しいと思うので、「すでに食事をした」事を納得してもらう工夫が必要です。例えば、食後の食器をすぐに片付けない方法があります。食後すぐに食器を片づけてしまうと、食事をしたことを忘れやすくなりますので、しばらくは本人の前に空いた食器を残しておくのも方法です。そうすると、自分が食事をした事を目で見て認識しやすくなります。 それ以外にも表を作成し食事が終わったらシールを貼って視覚で納得してもらう方法もあります。

私の体験談として

 私が施設で働いている時も、食事を食べ終えた直後に「ご飯はまだ?」等、訴えてくる入所者は何人もいました。認知症の勉強をするまでは、それこそ「さっき食べましたよ」「次は夕飯なので待っててください」等、本人の訴えをあまり聞き入れない対応をしていた時期もありました。そうした対応を続けているとまた同じような事を言い続けたり、中には他の入居者の食事に手を出すようになったりするなど悪循環になったこともありました。認知症の勉強をしてからは、本人の立場になって考え認知症の中核症状で「食べたこと自体」が記憶から抜け落ちてしまっているので、どのような対応が本人にとって望ましいのか考えるようになりました。先ほどの良い対応であげた「食べ終えたことを視覚に訴える」対応ですぐにお膳を下げず視覚に訴える対応をすることもありましたし、それでも納得されない場合は、食事をもう一度提供する訳にはいかないので、軽食(カロリーの低いおやつ等)をお出しする方法も実践していました。軽食であっても本人の訴えに少しでも答えることで納得していただけることもありました。

【ケース④】「家に帰りたい」と繰り返し言う(帰宅願望)

認知症になると、自分がいる場所や置かれている状況を理解したり記憶したりすることが出来にくくなります。それに加えて初期〜中期の時は自分の物忘れの症状を自覚していて、将来の自分に対する不安を抱くようになります。その心細い気持ちから「家に帰りたい」と訴えるようになります。また過ごしている場所や生活している場所の居心地が悪かったり、何かストレスになっていることがあると帰宅願望は強くなります。その為、自宅にいたとしても、その場所に不満があれば「家に帰りたい」と訴えることもあります。

ここでも、対応を考える前に本人の気持ちと、対応するあなた側の気持ちを考えてみましょう。

💕本人の気持ち

・ここはどこ?

・ここは居心地が悪い。落ち着かない。

・こんな所にいたくない。家に帰りたい。

💕あなたの気持ち

・ずっと住んでいた自分の家(居場所)なのに、なんで分からないの?

・自分の家なのに、なんでどこかに行こうとするの?

・「ここにいて」って何度言っても聞いてくれなくて疲れる。

それぞれの気持ちを理解した上で、どのような対応がいいのか?考えていきたいと思います。

NGな対応

帰りたい人に「帰れません」は、禁句

「家に帰りたい」と訴える本人に、「帰れませんよ」と言ったり、無理やり体を押さえて止めたりするのは良くない対応です。不安な気持ちが強くなって、暴れたり、外に急に飛び出してしまったりすることがあります。また、言葉で「あたなの家はここでしょ」「ここにいましょう」と説明して引き留めるのも✖️。本人は帰れないことに納得できていないのですから。

良い対応

気持ちを受け止め、その場から離れ外に出てみる

 今、自分の置かれている状況に不安や居心地の悪さを感じ「今すぐにでも家に帰りたい」と思っています。その気持ちを落ち着かせる為には、一度その場から離れるのが、もっとも効果的です。「一緒に帰りましょう」と言って外出してみましょう。「家に帰れる」という安心感から、気持ちも落ち着いてきます。その後、元の場所に戻っても、納得してくれることも多いです。また一緒に外出するのが難しい場合は「もう遅いから明日にしましょう」と伝えながら本人の「家に帰りたい」という気持ちを受け入れる対応を心がけるようにしましょう。

それ以外で「帰宅願望」を和らげるには?

 どんなに頑張っても、本人が納得がいく対応を行うのは困難な場合もあります。たとえ本人が自宅にいたとしても「家に帰りたい」と訴える時もあると思います。つまり今の環境や介護に満足していないという気持ちの表れなのです。今いるこの場所が自分にとって落ち着くことの出来ない環境であったり、周りの人が自分にとって嫌な存在だったら誰でも、その場から離れたくなるものだと思います。その為、今いる環境を少し変えてみることや側にいる人の対応の仕方を変えてみたりすることで、その場所が本人にとって居心地の良い満足できる環境に整えるのも大切になってきます。

私の失敗談として

 施設で働いていた時の話です。70代のAさんというおじいちゃんがいました。その人は大手企業の役員をされていた方で、とても威厳のある方でした。その方が認知症が進行し一緒に住んでいる妻が大病を患い入院生活を送るようになり私の施設に入居されました。日中は他の入居者と食事の時などお話ししたりして穏やかに過ごされていましたが、夕方になると部屋から出てきて施設の玄関近くにあるスタッフルームに「家に帰るから」と尋ねてきました。家に帰っても誰もいなく1人で生活するには食事や家事ができる人がいない為、帰らせる訳には行きませんでした。県外にいる娘さんからも「父をお願いします」と言われていたこともあり「家には帰れません」「今日はここに泊まってください」と、どうにか納得してもらおうと必死に対応をしました。本人からしてみれば、「何故、ここにいるのか」「なんで自分の家に帰らせてくれないのか」が認知症の進行もあり理解できていません。それなのに、まだ関係性も出来ていない職員から「家には帰れません」と言われたので納得がいかず、かなり激昂され自分1人では対応が出来ませんでした。そこで上司を呼んで、説明をしてもらったのですが、それでもてもなかなか納得してもらえず最終的には娘さんに連絡し本人に今の状況を説明してもらうことで、どうにか本人も落ち着かれ、ことなきを得たことがありました。しかし根本的な解決にはならず翌日にも夕方になると同じように訴え、その都度娘さんに連絡し対応してもらうしか出来なかった苦い経験があります。

結局、その方は娘さんのいる県外の施設に入居され定期的に家族と会える環境に移られたことで、落ち着いて生活ができるようになったと聞いています。

今考えると急に自分の知らない場所に入居させられ、本人にとって部屋も職員も落ち着く環境ではなかったのだと思います。その時に本人にとって過ごす物理的環境や周りの職員等の人的環境が認知症の人にとっては、とても大切なんだと実感した経験です。

こうした「環境の変化への弱さ」も、記憶障害や理解力の低下といった中核症状が関係しています。行動の背景をもう少し整理したい方は、
認知症で起こる中核症状について、もう少し詳しく知りたい方はこちら👇

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環境を整えるという関わり方

環境を整えることは、本人を変えようとする関わりではなく、困りごとを減らす関わりです。
叱ったり説明を重ねるより、効果が出やすいことも少なくありません。

分かりやすい生活動線(なぜ大切?どう整える?)

分かりやすい生活動線は、なぜ必要?

認知症になると

  • 何をする場所か分からない
  • 次に何をすればいいか判断できない
    という状態が起こりやすく、
    それが不安や怒りにつながります。

具体的な工夫

  • トイレ・洗面所・寝室は「迷わず見える位置」に
  • 使う物は「一軍だけ」を出しておく
  • 引き出しや棚は、ラベルや写真で中身が分かるようにする

ポイントとして

👉 覚えてもらう努力より
👉 迷わせない環境を優先する

刺激を減らす工夫(本人は“疲れている”)

刺激になりやすいもの

  • テレビのつけっぱなし
  • 複数人からの同時の声かけ
  • 物が多く、ごちゃごちゃした空間

本人は「分からない」「ついていけない」状態でも、
疲れていることを言葉で伝えられません。

具体的な工夫

  • 話すときはテレビを消す
  • 声をかける人は1人にする
  • 目に入る物を減らす(特に床・テーブル)

👉 落ち着かないときほど
**「情報を減らす」**が基本です。

安心できる習慣づくり(予測できる安心)

習慣があると何がいい?

  • 次に起こることが分かる
  • 心の準備ができる
  • 拒否や不安が減りやすい

具体例

  • 毎朝同じ言葉で声をかける
  • 食事前に必ず同じ動作をする
  • 入浴前に「これから何をするか」を毎回同じ言い方で伝える

👉 習慣は「正しさ」より安心感を基準に考えてください。

家族が疲れすぎないために

認知症のある家族を支えていると、「自分が頑張らなければ」と無理をしてしまいがちです。
でも、いつも完璧でいる必要はありません。

うまくいかない日があっても、それは関わり方が悪かったわけではなく、
その日の体調や状況によるものかもしれません。

少し距離をとったり、休んだりすることは、逃げではなく、続けていくための大切な時間です。
家族が疲れすぎないことは、本人にとっても安心につながります。

つらさを感じたときは、ひとりで抱え込まず、「疲れている」と思っていいと思います。

頑張りすぎない(限界を感じる前に)

多くの家族が「自分が我慢すれば何とかなる」と思って頑張り続けます。

でも実際は、

  • 疲れがたまる
  • イライラが出る
  • 自己嫌悪になる

という悪循環に入りやすいと思います。

休むこともケアの一つ

休むことに罪悪感を持つ家族はとても多いのではないでしょうか。

でも事実として

  • 休めている家族ほど、関係が安定しやすい
  • 笑顔がある方が、本人も安心しやすい

私が福祉の仕事で関わってきた家族を見て実際に感じたことです。

👉 休む=逃げでも怠けているでもありません。支援を続けるための準備だと思ってください。

具体的な休み方

  • 数時間だけでも家を離れる
  • 誰かと話す時間をつくる
  • 「何もしない日」を予定に入れる

それでもつらいときは

 つらいと感じるのは、弱いからではありません。真剣に向き合っているからです。もし今、少しでも限界を感じているなら、話を聞いてもらえる場所があります。状況が整理できていなくても大丈夫です。あなたのその辛い思いを医療や福祉の専門職に相談してみてください。本人とあなたのこれからの生活を継続していく為に、力になってくれるはずです。

支援を使う選択肢(早めに動く方が負担が軽くなります)

■地域包括支援センター

地域包括支援センターはお住まいの市区町村に必ず設置されています。地域包括支援センターの機能として

  • 65歳以上の人の医療・介護・福祉の総合相談窓口です。何かご家族のことでお困りごとがあれば、とりあえず連絡して相談してみてください。
  • 介護保険の申請や介護サービス等の利用、家族の悩み等、幅広い相談を受け付けてくれます。
  • 本人が受診を嫌がる場合の対応も相談できます。

■医療機関

 お住まいの地域のかかりつけ医や物忘れ外来に相談してみてください。かかりつけ医は、普段の体調や既往歴を把握しているので、必要に応じて専門医を紹介してもらえると思います。物忘れ外来では認知機能検査、画像検査などが可能で認知症かどうか/種類の判断、治療や今後の見通しを説明してもらえます。

※お住まいの都道府県名や市区町村+物忘れ外来一覧と検索すればお近くの医療機関を探すことが出来ます。

■居宅介護支援事業所

介護保険の認定があれば居宅介護支援事業所(ケアマネージャーがいる事業所)に相談してみてください。デイサービスやホームヘルパー等の介護サービスを利用することで一人で抱え込まず、程よい距離感を保つことが出来ます。

※お住まいの都道府県名や市区町村+居宅介護支援事業所一覧と検索すればお近くのケアマネージャーのいる事業所を探すことが出来ます。

周りに頼ることに対して一歩が踏み出せない方へ

 現場で相談員という家族の相談になる仕事もしていましたが、ご家族が、「もっと大変になってから」「まだ相談や支援を受けるのは早い気がする」等、話されることがあります。特に熱心に親の介護をされている方に多かったように感じます。

これはある意味で誤った認識をされているのだと感じていました。実際は、「早く知っておくほど選択肢が広がる」「困った時に慌てなくて済む」と思います。ですので、すぐに何かを決めなくてはいけないのではなく「話すだけでも」「情報を聞くだけでも」今後の生活を続けていく為に役に立つと思いますので、支援機関に気軽に相談してみて欲しいと思います。

👉支援は本人のため+家族を守るための手段だとご理解いただければと思います。

最後に

認知症のある方との関わりは、工夫を重ねても思うようにいかないことがあります。
それは、あなたの関わり方が足りないからではありません。

できることを積み重ねることも大切ですが、できない日があっても、それは自然なことです。
少し立ち止まったり、誰かの力を借りたりすることも、認知症ケアを続けていくための大切な選択です。

家族が心身ともに疲れ切ってしまわないことは、本人にとっても安心につながります。
ひとりで抱え込まず、「つらい」と感じたときは、そう感じていいのだと、まずは自分を認めてあげてください。無理をしない関わり方こそが、長く続けていくための支えになります。

認知症の全体像や制度・支援のことも含めて整理したい方は、
認知症について、基本から分かりやすく解説した記事はこちら👇

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認知症とはどんな病気なのかを、原因・症状・種類に分けて家族目線で分かりやすく解説。初めて認知症について調べる方に向けた入門記事です。


認知症の方への接し方は、知識だけでなく「どういう気持ちで関わるか」もとても大切です。
そのイメージをつかむのに、映画はとても役立ちます。

関わり方のヒントが詰まった映画はこちら👇

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