はじめに
「親の物忘れが増えてきた」
「退院後、自宅で生活できるか不安」
「介護保険って、結局どんなサービスが使えるの?」
介護が始まると、まず悩むのが“在宅で生活を続けていくために、どのようなサービスを受けることが出来るのか”という問題です。
介護保険の在宅サービスは、自宅での生活を続けながら、必要な支援を受けられる仕組みです。
施設に入る前の段階として利用する人も多く、
うまくサービスを利用することで「できるだけ家での生活を続けていく」ことが可能になります。
この記事では、在宅サービスの種類、内容、費用の目安、向いている人を詳しく解説します。
在宅サービスとは?
在宅サービスとは、自宅で生活しながら利用する介護保険サービスのことです。
特徴は、
・住み慣れた家で暮らせる
・家族と一緒に生活できる
・必要な支援だけを受けられる
という点です。
ただし、24時間すべてを支えてくれるわけではないため、家族の関わりも重要になります。
訪問介護(ホームヘルプ)
訪問介護は、どんなサービス?
ホームヘルパーが自宅を訪問し、入浴・排泄・食事などの身体介護や掃除・洗濯・買い物などの生活援助を受けるサービスです。
要介護認定と要支援認定でサービスの種類(名称)が違いますが、受けれるサービスは下記の内容で大きく変わりません。
【身体介護】
・食事介助
・入浴介助
・排せつ介助
・着替えの手伝い
【生活援助】
・掃除
・洗濯
・買い物
・調理
があります。
本人が「できない部分」を補ったり、掃除や洗濯をヘルパーと一緒に行う等のサービスです。
訪問介護の費用の目安(1割負担の場合)
利用料金は要介護度(要支援、要介護)、サービス内容(身体介護・生活援助)、所要時間や所得に応じた自己負担割合(1〜3割)によって異なります。
・週1〜2回:月2,000円〜3万円程度
・ほぼ毎日利用:月2万〜8万円程度
※利用時間・回数で大きく変わります。
訪問介護は、どんな人が利用している?※私の経験談より紹介
私は以前、訪問介護の事業所で4年間位働いていました。その時に多く利用していた方は
・一人暮らしの方で日常生活の一部に介助(掃除や洗濯・買い物・調理等)が必要な人
・家族と一緒に生活していても家族が日中仕事で不在の為、介護(排泄や食事等)が必要な人
・家族と一緒に生活しているが、家族も高齢で身体介護(排泄や入浴)が難しい場合 など
訪問介護は基本1対1の支援になる為、信頼関係を築くことがとても大切だと思いながら当時は仕事に取り組んでいました。関係性が出来てくると利用者から色々とお願いされることもありましたが、訪問介護は出来ること出来ないことがはっきりしている為、注意が必要です。例えば、家族と同居している人は生活援助は利用できない(例外あり)や大掃除に該当するような掃除(草むしりや窓拭き等)や公共料金の支払いなどはヘルパーは行うことが出来ません。どうしてもヘルパーにお願いしたい場合は介護保険ではなく自費のサービスを提供している事業所に相談してみるのが良いと思います。
介護保険の制度上、色々と制限もある訪問介護ですが、生活を支える介護保険サービスとしてとても良いサービスだと思います。体の機能低下で掃除や洗濯・買い物が難しかったり、家族介護で排泄や食事介助を行っている場合の家族の負担軽減などルールをしっかりと理解して利用すれば自宅での生活を継続することが可能でしょう。
訪問看護
訪問看護は、どんなサービス?
看護師が自宅を訪問し、療養上の世話や診療の補助等、医療的なケアを受けるサービスです。
・血圧や体調管理
・傷や褥瘡の処置
・点滴や医療機器の管理
・服薬管理
・家族への介護指導
医療と生活の橋渡し役です。
訪問看護の費用の目安(1割負担の場合)
・週1〜2回利用の場合:月3,000円〜1万円程度
医療ニーズが高い場合や緊急時の対応をしてくれる場合などは料金が増えることもあります。 ※利用時間・回数でも大きく変わります。
訪問看護は、どんな人が利用している?
・退院直後で体調管理が必要な人
・持病があり薬の管理や体調管理が必要な人
・在宅で傷の処置や点滴などの医療管理が必要な人
自宅で生活していても病院に通うのが難しい方(本人の体の機能低下や移動手段がない人など)が定期的に医療専門職から支援が必要な場合に利用します。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリは、どんなサービス?
理学療法士や作業療法士が自宅を訪問し、身体機能の維持・改善などのリハビリテーションを受けるサービスです。
・歩行の訓練
・関節の可動域(動く範囲を広げる)訓練
・転倒予防指導
・日常生活動作の練習 など
自宅環境(段差や階段等)に合わせたリハビリができるのが特徴です。
訪問リハビリの費用目安(1割負担の場合)
・週1〜2回利用の場合:月2,500円〜7,000円程度
※リハビリの内容や退院して3ヶ月以内に利用する場合、利用回数でも大きく変わります。
訪問リハビリは、どんな人が利用している?
・通所介護(デイサービス)に通うのが難しい人
・家や近所での転倒が増えてきた人
・退院後の体力低下等があり身体の機能維持が必要な人
体の機能低下の維持や改善を行うことで自宅での生活を継続できるようにしていきたい人におすすめのサービスです。
通所介護(デイサービス)
デイサービスは、どんなサービス?
日中、デイサービスのある事業所へ通い(送迎あり)、下記の内容のサービスを日帰りで受けるサービスです。
・入浴
・食事
・レクリエーション
・機能訓練 など
デイサービスの費用目安(1割負担の場合)
週1回:月3,000円〜4,500円
週2回:月6,000円〜10,000円 週3回:月9,000円〜15,000円
※上記の料金以外に食費(500円〜900円程度)と日用品費・レクリエーション費(事業所により異なります)がかかります。またデイサービスは要介護度が高いほど利用料金は高くなったり、入浴やリハビリを行うと利用料金が加算されます。
デイサービスは、どんな人が利用してる?
・家に閉じこもりがちで他者交流がしたい人や必要な人
・自宅での入浴介助が大変で安全に入浴したい人
・体の機能を維持する為、リハビリが必要な人
・家族と同居しているが日中は家族が仕事で本人が家で1人になる場合
・自宅での介護に家族が疲れていて、休息が必要な場合
デイサービスは家族にとっては「介護から少し離れる時間」になります。また本人にとっては認知症予防や社会交流の場としても重要なサービスだと思います。私も以前、デイサービスで働いていたことがありましたが、最初はデイサービスに行くのを嫌がっていた人も周りの人や職員との関係性が出来てくると来るのを楽しみししてくれる人もたくさんいました。本人が認知症を患っていて家族が介護をしていることも多くあり、お互い離れる時間を作ることで自宅での生活が継続できることも多くあるのではないでしょうか。
今現在、多くのデイサービスがあり、事業所によって特徴が様々です。リハビリに特化しているところやレクリエーションや趣味活動に力を入れているところ、認知症の方の対応に力を入れているところなど様々です。利用する際はケアマネージャーに色々と教えてもらったり、気になるデイサービスに見学や体験利用をしてみるのも雰囲気が分かって良いと思います。
通所リハビリテーション(デイケア)
デイケアは、どんなサービス?
老人保健施設や病院、医療施設などに通い(送迎付き)、食事・入浴・排泄などの介護や生活動作向上に向けてリハビリを中心に行う日帰りのサービスです。
デイサービスとの違いは、医師やリハビリ専門職が常駐して、下記の内容のサービスを受けれる点です。
・専門的なリハビリ
・退院後の回復支援
・身体機能の維持・向上
デイケアの費用目安(1割負担の場合)
週1回:月5,000円〜9,000円
週2回:月10,000円〜17,000円
週3回:月15,000円〜25,000円
※上記の料金以外に食費(500円〜900円程度)と日用品費・レクリエーション費(事業所により異なります)がかかります。またデイケアも要介護度が高いほど利用料金は高くなったり、入浴や個別のリハビリを行うと利用料金が加算されます。
デイケアは、どんな人が利用してる?
・脳梗塞を発症したり骨折で入院し退院後も引き続きリハビリ専門職によるリハビリを続けたい人。
・医師が常駐しているので、持病があり体調に不安がある中でリハビリを行いたい人。
・身体機能低下が目立ち「自分でトイレに行けるようになりたい」や「食事をスムーズに摂れるようになりたい」といった具体的な生活動作向上を目的とする人。など
デイケアは、先ほどのデイサービスと似たような名称の為、混同してしまいますが、デイサービスよりもリハビリに特化した通いのサービスだと考えてもらえたら良いと思います。ただし利用する為には医師の指示書が必要になる為、かかりつけ医やケアマネージャーに相談が必要です。
短期入所生活介護(ショートステイ)
ショートステイは、どんなサービス?
特別養護老人ホームや医療施設などに数日〜数週間宿泊して以下の日常生活の支援や機能訓練などの介護を受けることのできるサービスです。
・食事、入浴、排泄等の介助
・服薬の介助
・定期的な安否確認 など
ショートステイの費用目安(1割負担の場合)
1日につき1,000〜4,000円程度
ショートステイは介護費用+食費+居住費(部屋代)=利用料金です。
介護費用は要介護度が高いほど高くなります。
食費は1日1,000円〜2,000円程度
居住費は多床室(相部屋)か個室によって1,000円〜4,000円の金額になります。
ショートステイは所得に応じて食費・居住費が軽減される負担限度額認定証というものがありますので、利用時には申請を検討してみてください。
※1週間利用した場合で3〜5万円前後になることが多いです。
ショートステイは、どんな人が利用してる?
・家族が自宅で介護をしており休息を取りたい人
・家族が介護しているが、旅行や冠婚葬祭などで本人1人では一時的に自宅生活が難しい場合
・家族が急な病気や入院することになった等の緊急時の場合 など
私は以前、ショートステイの相談員をしていたこともあるのですが、ショートステイは本人にとっては慣れない場所に泊まりに行くので、「行きたくないのに行かされる」「私を施設に入れようとしている」等、本人が混乱や不安になることも多いと思います。それでも介護している家族も時には休息が必要な時もあります。そんな時はケアマネージャーに相談しショートステイの利用を検討してみてください。最初は本人も行きたがらないこともあるかもしれませんが、ショートステイ先の職員も介護のプロですので、本人との関係性を築きスムーズに利用できるようになると思います。
福祉用具貸与・住宅改修
福祉用具貸与・住宅改修は、どんなサービス?
福祉用具貸与では、
・介護ベッド
・車いす
・歩行器
・歩行補助杖
・手すり など
をレンタルできます
住宅改修では、
・廊下や階段、浴室やトイレなどに手すり設置
・段差解消の為のスロープの設置など
・滑り止めの為に床または通道面の材料の変更
・引き戸などの「扉の取り替え」
・洋式便所などへの「便器の取り替え」
などが可能です。
福祉用具貸与・住宅改修の費用目安
レンタル:月に数百円〜数千円
住宅改修:20万円まで補助(原則1割負担)が支給されます。
福祉用具貸与・住宅改修は、どんな人が利用してる?
・足の筋力が低下し自力での歩行が不安な人
・自宅での転倒が増えてきた人
・身体機能が低下した為、ベッドからの立ち上がりが困難になった人
在宅サービスのメリット・デメリット
メリット
・自分の住み慣れた家で生活できる
・施設サービスより費用を抑えやすい
・家族介護の負担軽減になる。
・家族と一緒に過ごすことが出来る。
デメリット
・家族の負担がなくなるわけではない。
・夜間の見守りが難しい(対応しているサービスは限られる)
・認知症の徘徊等の行動心理症状には在宅サービスでは対応の限界がある。
認知症の場合の在宅介護サービス
認知症が進むと、
・服薬管理困難
・夜間の徘徊
・火の不始末
・妄想
などが起こることがあります。家族と生活していても対応が難しい場合も増えてくることがあるので、その場合は…
✔ デイサービスを増やす
✔ 訪問介護を追加
✔ ショートステイ併用
など、組み合わせで対応することが多いです。
まとめ
在宅サービスは、「できることは自宅で続ける」ための支えです。
すべてを完璧にしようとせず、
・できない部分をサービスに任せる
・家族も休む
・将来を見据えて準備する
ことが大切です。
在宅介護は、無理を続けるものではありません。
早めに相談し、必要なサービスを組み合わせることが、
本人にも家族にとっても優しい選択になります。
次回の記事では、
介護保険サービス(施設サービス)について
分かりやすく解説しようと思っています。


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