最近、聴いた本「屍人荘の殺人」 今村昌弘 著

日々の出来事

1.導入・本の紹介

今村昌弘さんのデビュー作『屍人荘の殺人』は、発売当初から「前代未聞の本格ミステリ」として注目を集めた一冊です。2017年の刊行後、国内の主要なミステリランキングで軒並み1位を獲得し、その衝撃的な内容で読者を驚かせました。後に映画化もされ、広く知られる存在となりました。

一見すると不穏なタイトルですが、本作はホラーやスプラッターではなく、あくまで「本格推理小説」。クローズド・サークルを舞台にした王道の仕掛けを踏襲しながらも、そこに大胆な要素を加えたことで、従来のミステリにはなかった新鮮な読書体験を与えてくれます。


2.読んだきっかけ

この作品を聴こうと思ったきっかけは、次はどんなミステリーを読もうかと悩んでいたところ、まずタイトルに惹かれました。「絶対にネタバレ厳禁」「新本格30年の到達点」といった魅力的なコピーが書いてあり、否が応でも好奇心をくすぐられました。普段から推理小説が好きで、アガサ・クリスティの作品や国内の新本格を読んでいたこともあり、「これは普通のミステリではない」と直感。気軽な気持ちで読み始めたのですが、あっという間に物語の世界へ引き込まれ、一気に読み終えてしまいました。


3.あらすじ

大学の映画研究会が夏合宿のために訪れた山荘「屍人荘(しじんそう)」。主人公は推理好きの大学生・葉村譲。彼の友人で“名探偵”気取りの明智恭介、そして謎めいた女子学生・剣崎比留子も参加し、合宿は始まります。

しかし、山荘は思わぬ脅威に襲われます。それが「屍人」の出現。突如現れた外的脅威によって登場人物たちは山荘に閉じ込められ、完全な孤立状態に陥ります。

さらに混乱の中で「人為的な殺人事件」が発生。外から迫る恐怖と、内部で起きる殺人―二重の緊張感に包まれた舞台で、葉村と比留子は事件の真相を追っていきます。犯人は誰か、動機は何か。読者もまた、息を呑む展開に引き込まれていきます。


4.読んでみた感想

読み始めた当初は、屍人という要素に正直驚きました。「これは推理小説なのか?」と戸惑ったのですが、読み進めるうちにこの設定が物語をより面白くしていることに気づきました。外的脅威のおかげで舞台が完全に閉じられ、純粋に「内部に潜む犯人は誰か」という推理に集中できる仕組みになっているのです。

また、葉村と比留子のコンビが非常に魅力的でした。比留子の聡明さと冷静な推理力、そして葉村の観察眼や誠実さ。二人の関係は「探偵と助手」という伝統的な形を現代的に描き直したようで、読み終えた後には「またこのコンビの活躍を読みたい」と強く思いました。

結末は意外性と納得感が見事に両立しており、「やられた!」と同時に「なるほど」と頷けるものでした。単なるアイデア勝負に終わらず、本格推理としての丁寧さと緻密さがしっかりと感じられ、読後感はとても爽快です。


5.作品の魅力

本作の最大の魅力は、「王道」と「新しさ」を同時に楽しめる点です。クローズド・サークル、探偵役と助手役、伏線回収など本格ミステリの基本を押さえながら、屍人という意外な要素を大胆に取り入れています。その結果、従来のミステリに慣れた人にも新鮮に映り、普段あまりミステリを読まない人にもエンタメ小説として楽しめる仕上がりになっています。

さらに、事件解決までのスピード感、登場人物同士の緊張感、そして「予測できそうでできない」巧妙なトリック。どの要素も読者を飽きさせません。シリーズ第2作、第3作へと続いていく入口としても最適で、今後の展開に期待が膨らむ一冊です。


6.おすすめ度

  • 感動度 ★★★☆☆
  • 分かりやすさ ★★★★☆
  • スリル度 ★★★★★
  • 意外性 ★★★★★
  • 総合おすすめ度 ★★★★☆

驚きとスリルを同時に楽しめる、新しいタイプの本格推理小説。
「普通のミステリじゃ物足りない」という方にも、「推理小説をこれから読んでみたい」という方にもおすすめの一冊です。


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