はじめに
電話のベルが鳴り、取調室の空気が一瞬で張りつめる。
「爆弾を仕掛けた」と告げる男は、静かに笑っていた。
警察が総力を挙げて捜査する中、男は一歩も動かず、ただ言葉だけで彼らを翻弄していく―。
呉勝浩『爆弾』は、社会の歪みや人間の本質に鋭く切り込むサスペンス作品。
取調室という限られた空間で、容疑者と刑事の心理戦が繰り広げられる緊迫の物語です。
今回はそんな「爆弾」の感想や魅力を紹介したいと思います。
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本の紹介
読んだきっかけ
オーディブルを聴きはじめた時から、『爆弾』というタイトルが気になっていました。しかし取調室でのやり取りだけで、どこまで引き込まれるのか半信半疑でしたが、最終的に“言葉の力”が際立つ作品だと感じて手に取りました。
「爆弾犯が何を語るのか」という単純な設定に見えて、会話の一つひとつに恐ろしく深い意味が潜んでいます。
あらすじ
物語は、東京のどこかに爆弾を仕掛けたと自白する男―スズキタゴサクの逮捕から始まります。
取調室で彼と対峙するのは、警視庁公安部の清宮と類家。
だが、スズキは肝心の爆弾の在り処を決して明かそうとしません。
しかも、「もうすぐ爆発する」「俺が言うのは“最後のヒント”だ」などと謎めいた言葉を残し、二人を翻弄し続けます。
一方、外では警察が総力を挙げて捜索を続ける中、都市はパニック寸前。
清宮と類家は焦りと緊張の中で、スズキの言葉に隠された真意を読み解こうとします。
そして少しずつ明らかになるのは―爆弾の場所だけでなく、
**「なぜスズキが爆弾を仕掛けたのか」**という、社会と個人の深い闇。
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読んでみた感想
読み始めてすぐ、取調室の会話だけでここまで緊迫感を生み出せるのかと驚かされます。
スズキの言葉は狂気と理性の境界を行き来し、何が本音で何が嘘なのか最後まで掴めません。
それに対して、冷静に見えて内に激しい感情を抱える清宮、
そして論理的で冷徹な類家の二人の刑事。
三者三様の心理がぶつかる取調室は、まるで戦場のようです。
物語の終盤に向けて、会話の意味が一つずつ繋がっていく構成の巧みさも圧巻。
爆弾という“物理的な脅威”を超えて、言葉が人を追い詰め、社会を動かしていく様子にゾッとさせられます。
「人間とは何か」「正義とはどこにあるのか」という重い問いが静かに突きつけられる読後感でした。
作品の魅力
本作の最大の魅力は、取調室の中だけで展開される“会話のスリル”です。
まるで演劇のように言葉だけで緊張が高まり、読者はその一言一句に釘付けになります。
また、呉勝浩さんならではの社会への洞察も光ります。
スズキの語る“現代の日本”は、どこか私たちの現実と地続き。
SNSでの分断、貧困、承認欲求―彼の狂気じみた発言の中には、現代社会への皮肉と悲しみが混ざっています。
そして終盤の展開。
「爆弾の場所」よりも、「スズキという人間が何者なのか」に焦点が移るラストは、息を呑むほどの衝撃です。
ミステリーとしての完成度も高く、映画のような臨場感を持ちながら、読み終えたあとには深い余韻が残ります。
オススメ度
ストーリーの緊迫感 ★★★★★
社会性・メッセージ性 ★★★★★
キャラクターの深み ★★★★☆
ラストの衝撃 ★★★★★
総合オススメ度 ★★★★★
「スリルを楽しみたい人」にも、「考える物語を読みたい人」にも刺さる一冊。
エンタメと思想性が完璧に融合した、呉勝浩さんの代表作といえるでしょう。
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私もぜひ観に行きたいと思っています。
まとめ
『爆弾』は、現代社会を映す鏡のような小説です。
人間の怒り、無力感、そして社会への不信が、ひとつの“爆弾”として描かれています。
読み終えた後も、小松の言葉が頭の中で何度も響き、
自分の中にも“見えない爆弾”があるのではないかと考えさせられます。
ただのサスペンスでは終わらない、“思想としてのミステリー”。
心を掴まれたまま、ラストの爆発音が静かに胸に残る傑作です。
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