福祉をテーマにしたおすすめ映画②「明日の記憶」

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🌟 おすすめ度

感動度 ★★★★☆ 若年性アルツハイマーと向き合う夫婦の姿に胸を打たれます。
分かりやすさ ★★★☆☆ 若年性認知症の進行や家族の思いが自然に伝わってきます
リアリティ度 ★★★★☆ 荻原浩氏の小説で実話に基づいたフィクション作品です
総合おすすめ ★★★★☆ 感動と学びの両方を与えてくれて心に残る作品です

※簡単なあらすじや感想を含みます。ネタバレを避けたい方はご注意ください。

◆はじめに

Amazonプライムで観ることの出来る「明日の記憶」について紹介したいと思います。

もし、昨日の出来事を思い出せなくなったら——。
それでも愛する人を守りたいと思えるだろうか。
映画『明日の記憶』は、若年性アルツハイマー病をテーマにした、2006年公開の感動ヒューマンドラマです。主演の渡辺謙と樋口可南子が夫婦役を演じ、記憶を失っていく夫と、そのそばで支え続ける妻の姿を繊細に描き出しています。


◆作品紹介

原作は荻原浩の同名小説。監督は『トリック』シリーズや『SPEC』などで知られる堤幸彦ですが、本作では一転して静かで深みのある演出を見せています。
広告代理店で働く俊介(渡辺謙)は、バリバリの営業マンとして充実した人生を送っていました。しかし、ある日突然、会議で得意先の名前が出てこない。電車の乗り換えを間違える。妻・枝実子(樋口可南子)との約束を忘れてしまう—。そんな小さな異変が、やがて「若年性アルツハイマー病」という診断へと繋がります。

俊介はまだ50代。仕事も家庭もこれからという時期に病に直面します。彼は戸惑い、怒り、そして恐怖に襲われながらも、少しずつ自分の現実を受け入れていきます。その過程で浮かび上がるのは、夫婦の絆と人間の尊厳。
病気が進行するほど、俊介の言葉は少なくなっていきますが、その沈黙の中には、深い愛と苦しみが静かに流れています。


◆観たきっかけ

認知症をテーマにした作品の中でも、『明日の記憶』はとてもリアルで心に残る映画として多くの人に語られています。介護や老いを描いた映画は数多くありますが、本作の特徴は、まだ若い世代が突然「記憶を失う現実」に直面するという設定です。
私自身も認知症をテーマにした記事を多く扱ってきた中で、この作品は“本人の視点”に最も寄り添っていると感じました。


◆あらすじ

広告会社に勤める佐伯俊介(渡辺謙)は、仕事熱心で部下からの信頼も厚い人物。
しかし、ある日から徐々に記憶の不調を感じ始めます。重要なプレゼンの日程を忘れ、部下の名前が出てこない。最初は疲れだと思っていた俊介でしたが、妻の勧めで病院を受診し、「若年性アルツハイマー病」と診断されます。

病気が進行する中で、俊介は次第に職場での居場所を失い、同僚や部下の前で取り繕うことも難しくなっていきます。一方、妻の枝実子(樋口可南子)は、夫を支える覚悟を決めます。
病状が進んでも、二人が手を取り合って生きようとする姿には、夫婦愛の深さが静かに描かれています。

やがて俊介は、次第に言葉を失い、自分の存在さえも曖昧になっていきます。それでも妻の顔を見た瞬間、どこかに“覚えている”ような微かな表情を浮かべる—。
その一瞬一瞬のまなざしに、観る者は言葉を失うでしょう。


◆見どころ・作品の魅力

『明日の記憶』の最大の魅力は、派手な演出を排した“リアルさ”にあります。
アルツハイマー病という病をセンセーショナルに描くのではなく、淡々と、しかし丁寧に、現実を見つめる。渡辺謙の演技は圧巻で、徐々に失われていく記憶と、それでも残ろうとする「人間らしさ」を見事に体現しています。
表情や沈黙だけで心情を伝える場面の数々に、俳優としての凄みを感じます。

また、妻・枝実子を演じた樋口可南子の存在も忘れてはなりません。彼女の穏やかで強いまなざしは、愛する人を支える“覚悟の静けさ”を体現しています。俊介の変化を受け入れながらも、決して悲劇的ではなく、「一緒に生きる」ことを選ぶ姿勢が深く心に残ります。

映像も非常に美しく、柔らかな光と陰の対比が、記憶の曖昧さを象徴しています。家庭や職場など、どこにでもある風景が舞台となっていることで、「自分の身にも起こりうること」として観る人の心にリアリティを刻みます。


◆感想

私がこの映画を観て感じた事は、職場で部下からも頼りにされ働き盛りの40代後半の男性が若年性アルツハイマーと診断された時の絶望と受け入れる事が難しい主人公の葛藤を渡辺謙が見事に演じていたのが印象的です。徐々に記憶がなくなり、場所も分からなくなり今までした事のないミスを仕事でもしてしまいます。それが原因で職場を退職しないといけなくなり役割の喪失が本人を襲います。仕事をやめて家で過ごす事が多くなりますが、それでも妻の献身的な支えによって認知症と闘いながら生活を続けていきます。日々を過ごす中で病気のせいだと分かりながらもお互いが衝突することがあったり、思いあったりする場面もありとてもリアルに描かれていると感じました。

自分が若年性アルツハイマーと診断された時、時間がかかってでも受け入れることが出来るのだろうか?また自分の身近な人が若年性アルツハイマーと診断された時、私はその人を本当に最後まで支えることが出来るのか?自問自答するような作品だと思います。

認知症(若年性アルツハイマー)について知ることのできる映画になっていると思いますので、ご興味のある方は是非観てみてください。


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