福祉をテーマにしたおすすめ映画⑤「ペコロスの母に会いに行く」

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🌟 おすすめ度

感動度 ★★★☆☆ 認知症の母と息子の関係をユーモアと温かさで描きじんわり感動
分かりやすさ ★★★★★ ストーリーは分かりやすく、誰でも感情移入できる作品。
リアリティ度 ★★★★☆ 認知症の描写はコミカルにしつつも日常のリアルさが伝わります。
総合おすすめ ★★★★☆ 笑いと涙のバランスが絶妙。家族愛を感じる心温まる作品です。

※簡単なあらすじや感想を含みます。ネタバレを避けたい方はご注意ください。

■はじめに

 Amazonプライムで観ることの出来る「ペコロスの母に会いに行く」について紹介したいと思います。「ボケてもいいじゃないか。だって、母は母だから。」そんな温かいまなざしで、認知症の母と息子のゆるやかな日々を描いた映画『ペコロスの母に会いに行く』。

笑いと涙が静かに入り混じる本作は、介護や老いを真正面から見つめながらも、どこか“優しい風”のようなぬくもりを感じさせます。
重くなりがちなテーマを、笑いと愛情で包み込む――この映画には、“親子の絆”を見つめ直す力があります。


■作品紹介

『ペコロスの母に会いに行く』は、長崎在住の漫画家・岡野雄一さんが、自らの母との実体験をもとに描いた同名エッセイ漫画が原作です。2013年に映画化され、監督は森崎東、主演は岩松了(ペコロスこと雄一)と、母・みつえを演じた赤木春恵。
公開当時、赤木春恵さんは89歳という高齢での主演ながら、その柔らかく自然な演技で多くの観客の心をつかみました。舞台は長崎。
ユーモアと哀愁に満ちた町並みの中で、息子が母の“ゆるやかな忘却”を見守りながら過ごす時間を、温かく描いています。
監督・森崎東の持ち味である「人間味と笑いのバランス」が絶妙で、観る人をやさしく包み込む作品に仕上がっています。


■あらすじ

ペコロスこと岡野雄一(岩松了)は、漫画家であり、シンガーソングライターでもある中年男性。
彼の母・みつえ(赤木春恵)は、認知症が進み、記憶の中で過去と現在が交錯するようになっています。
かつては厳しくも優しい母親だったみつえが、少しずつ子どものようになっていく姿を、雄一はやさしく見つめながら介護の日々を送ります。

物語の中で、母のみつえは“過去の長崎”へと心を旅するように、若い頃の夫(加瀬亮)や幼い息子と再会します。
それは現実と記憶が入り混じる幻想的な時間――。
母の心の中では、失われた人たちが再び息づき、優しく語りかけてくれるのです。

一方の雄一は、母の変化を悲しむのではなく、「ボケても幸せそうでよかった」と笑いながら受け止めていきます。
息子として、介護者として、そしてひとりの人間として、母の“今”を尊重しながら寄り添う。
そんな雄一の姿に、多くの人が“介護とは何か”“親子とは何か”を考えさせられるのではないでしょうか。


■作品の魅力

『ペコロスの母に会いに行く』は、介護を経験した人なら誰もが共感できる「小さな奇跡の映画」です。
認知症を扱いながらも、決して重くせず、むしろ“生きることのユーモア”を描くことに成功しています。

母が少しずつ記憶を失っていく中で、息子は新しい“母との時間”を見つける。
「忘れていくこと」ではなく、「残っているもの」に目を向ける。
その哲学的で優しい視点が、観る人の心に深く残ります。

また、現実と幻想の間を行き来する独特の演出が、認知症の世界をやわらかく表現されていて、
観る側が自然に“母の記憶の中”に引き込まれるような映像表現も素晴らしいと思います。

■感想

この映画の最大の魅力は、「認知症を“悲劇”として描かない」こと。

私がこの映画を見て感じたことは、実話がベースになっているので、とてもリアルに描かれている所です。作者の岡野雄一さんの実体験がもとになっているので、介護経験のある私にとって色々な場面で「あるある」と感じるシーンが多かったです。

また重くなりがちな「認知症介護」のテーマを笑いと人情で描かれているので、ユーモアと優しさに満ちた作品になっています。また「老いることも、悪くないかもしれない」と感じさせてくれるその作品は、認知症介護に関わっている人や親子の絆を描いた温かい映画を見たい人は是非、ご覧になってみてください。

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