行動心理症状(BPSD)について

福祉の話

・行動心理症状(BPSD)とは?

・行動心理症状(BPSD)ってどんなことを言うのか?

・行動・心理症状(BPSD)を生み出す要因

・行動・心理症状(BPSD)の出現原因

・私の体験談

■行動心理症状(BPSD)とは?

認知症の症状は認知症が原因で起こる中核症状と、様々な要因が作用して起こる行動心理症状で構成されています。行動心理症状は、かつて問題行動や行動障害などと呼ばれていましたが、現在は認知症の行動心理症状(BPSD)と呼ばれています。 ちなみにBPSDは「Behavioral & Psychological Symptoms of Dementia」の頭文字をとってBPSDと言われています。

■行動心理症状ってどんなことを言うのか?

行動心理症状には、徘徊・妄想・攻撃的行動・ 不潔行為・異食等があります。

徘徊】無目的に歩き回る。外にでようとする

【妄想】物を盗まれたと言う

【異食】何でも食べようとする

■行動心理症状(BPSD)を生み出す要因

身体的要因】身体的不調(水分不足、便秘、発熱、体調の崩れや発病、痛み、かゆみ等)

【心理的要因】不安、孤独、恐れ、過度のストレス、無気力、死の恐れ、悲しみ等

【環境的要因不適切な環境刺激(慣れない場所や人、音、光、風、空間の広がりや圧迫、不適切なケアなど)  

■行動・心理症状(BPSD)の出現原因

アルツハイマー型認知症にみられる記憶障害や見当識障害等の中核症状は、ほとんどの認知症高齢者にみられるものです。一方で徘徊や妄想などの行動心理症状は全ての認知症高齢者にみられる症状ではありません。行動心理症状は一次要因と呼ばれる中核症状に身体不調やストレス、不適切な環境や不安感・不快感、不適切なケアなどの二次要因が作用して起こると考えられています。

図で表すと下の図のようになります。

私の体験談

施設で働いていた時に、同居していた息子さんが病に倒れ1人での生活が困難になった認知症のおばあちゃんが急遽施設に泊まりにきた時の事です。夕方になると「帰らないと」と言って施設から出ていこうとします。「息子さんは今入院しているので今日は泊まっていってください」と説明しても「いいや、息子が帰ってくるからと」職員の説明を理解してくれません。その日は私が勤務していて夕方になるといつもと同じように「帰らないと」と施設から出ていこうとします。その時は私も認知症の勉強をしていなかったので、どのように対応するのが良いのか分からず、そのおばあちゃんが外に出るのに一緒について行きました。杖をついて歩かれるそのおばあちゃんは施設を出ると右に曲がり200メートル先の大通りまで歩いて行きます。どこに向かっているか尋ねると「タクシーをつかまえて家に帰らんと」と私に話してくれました。「息子さんが帰ってくるんですね」と本人の言っていることに共感しながら一緒に大通りまで歩いて行きました。この日は年末だったことも関係してか分かりませんが10分以上待ってもタクシーが全然通りません。また私は現場勤務に入っていた為、上着を着てこず半袖の制服を着て出てきたので寒くて震え出していました。それをみた、そのおばあちゃんは「あんた、そんな格好できて寒いやろ」「風邪ひいたいけんから、今日は戻ろうか」と言ってくださり、私達は来た道を引き返して施設に戻りました。なぜ、その時に施設に戻ってくれたのかその時は分かりませんでしたが、今思うと本人の思いに共感し一緒にいた私を受け入れてくださり気遣ってくれたのではないかと今では思います。今回紹介した行動心理症状の出現には色々な要因がありますが、関わる人の接し方も大切だと、この経験を振り返りながらいつも思っています。

※参考文献・資料 認知症介護基礎研修標準テキスト、認知症介護実践者研修テキスト

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