福祉をテーマにしたおすすめ映画⑥「長いお別れ」

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🌟 おすすめ度

感動度 ★★★★☆ 父と家族の関係の変化を丁寧に描き、涙と笑顔の両方を与える深い感動作です。
分かりやすさ ★★★★★ 認知症の描写や家族の葛藤が自然に描かれており、ストーリーも理解しやすい構成です。
リアリティ度 ★★★★☆ 認知症の症状や家族の対応が非常に現実的に描かれ、実際の家庭での経験と重ねて共感できます。
総合おすすめ ★★★★★ 心温まるヒューマンドラマとして完成度が高く、演技・演出・テーマの全てが優れた作品です。

作品概要

Amazonプライムで見ることのできる「長いお別れ」について紹介したいと思います。2019年に公開された映画『長いお別れ』は、認知症を患う父とその家族の姿を描いたヒューマンドラマです。原作は直木賞作家・中島京子の同名小説で、監督は中野量太。主演には山崎努、竹内結子、蒼井優といった日本映画界の実力派俳優が集結し、家族の絆や日常の温かさを丁寧に描き出しています。

あらすじ

物語の中心は、認知症を発症した父・辰雄(山崎努)と、その家族です。辰雄はかつてしっかり者で頼れる存在でしたが、次第に物忘れや時間の感覚のずれが見え始め、家族の日常にも変化が生じます。長女の麻衣(竹内結子)は父の変化に戸惑いながらも、どう接するのが最善かを模索します。一方、次女の芙美(蒼井優)は、父の昔の優しさを思い出しながらも現実とのギャップに苦しみます。家族は時にぶつかり合い、時に支え合いながら、辰雄との“長いお別れ”に向き合っていきます。

見どころ

本作の魅力は、認知症という重いテーマを扱いながらも、決して暗くならず、温かみのある視点で描かれている点です。辰雄が過去の記憶を混同するシーンでは、ユーモアを交えたやり取りが微笑ませつつ、家族の切なさや戸惑いを強く感じさせます。例えば、辰雄が昔の家族の出来事を現在の麻衣や芙美と混同して話す場面では、観る者は笑顔になりながらも、記憶の失われる怖さや時間の重みを実感します。また家族から見ると本人の行動(どこかにいなくなってしまう場面)が最初は理解出来ないこともありますが、認知症の本人にとってはちゃんとした理由があることに気づかさせてくれるシーンも印象に残ります。こうした細やかな描写が、映画全体にリアリティと深みを与えています。

演技の魅力

山崎努は、認知症を患う父の揺れる感情や不安と優しさの入り混じる心理を見事に演じています。竹内結子は娘としての葛藤と優しさを繊細に表現し、観客に共感を与えます。蒼井優の演じる娘の姿も、父への思いやりと自己葛藤が丁寧に描かれ、家族の絆をより深く感じさせます。三人の実力派俳優による自然で力強い演技が、物語をより心に響くものにしています。

映像と音楽

映像や音楽も本作の魅力を引き立てています。日常の何気ない風景や光の表現が、家族の温かさや切なさを際立たせます。特に家族が集まる食卓や庭先のシーンでは、日常の小さな幸せが丁寧に描かれ、観る者の心に静かな感動を与えます。音楽は穏やかなピアノや弦楽器が中心で、場面の空気感や登場人物の心情を優しく支えています。

まとめ

『長いお別れ』は、単なる認知症映画ではなく、家族の絆や愛情、人生の儚さをあらためて考えさせてくれる作品です。観る人は、辰雄の変化に戸惑う家族の姿を通して、日常の小さな幸せや家族との時間の尊さを再認識するのではないでしょうか。悲しみや切なさと共に、ユーモアや温かさ、そして人とのつながりの大切さが心に残る映画です。家族と一緒に観るも良し、一人でじっくり観るも良し。心がじんわり温かくなる体験を提供してくれる作品です。

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